2019/09/01
ビジネス
先日、例のデモのとばっちりを受けて香港への出張の予定がキャンセルになってしまった。迷惑を被ったといえば確かにそうなのだが、長い目で見て人々にとってが住みよい場所になるための活動であれば、やむを得ないのかな、と。何せものごとは長期的な視野で見ることが必要だと常々思っている。
さて、出張の目的はIR(インベスターズ・リレーションシップ)活動であった。不特定多数の株主を持つわたしたちの会社にとって、投資家は重要な役割を担ってくれている。また、最近は海外の投資家も増えてきた。認知度も少しずつ上がっているようで、面談の要請が結構あるのだ。
そこで、今回はわたしたちにとって投資家をどのように位置づけているかを書いてみたい。(以下、ですます調に変更します。)
わたしたちは不特定多数の皆さまに株式を所有していただこうとする公開企業でありますから、投資家の方々に対するリレーションシップを重要視しています。それは、わたしたちが「事業を通して社会をより良いものに変えていきたい」と考えたとき、投資家はその実現のために必要な「武器」を持たせてくれるものだというふうに考えているからです。「武器」などというとちょっと物騒なので、「きびだんご」とでもしておきましょう。わたしたちの社員や経営陣は桃太郎でありイヌ、サルやキジ。目的を達成するにはまずは仲間が大切であり、次に適切な物資が必要なのです。
わたしたちはさまざまなタイプ、さまざまなスタンスの投資家が存在していることを理解しています。中長期的な投資家だけではなく、日々の情勢にすぐさま反応したり、3ヵ月、あるいは1年程度の短いスパンで事業を捉えたりする投資家等が存在することを知っています。国内はもとより海外を含めて、日々の経済の変化は目まぐるしく、また政治的な衝突や、天災などさまざまな事象にマーケットは反応します。投資姿勢もそれに応じて変化をさせる投資家が存在するのは当たり前のことと承知しています。現に3ヵ月や1年というスパンでも、事業の取り組みはさまざまな結果を生み出します。そのような中で、わたしたちは日々や短期的な「うまくいった」「うまくいかなかった」といった蛇行を繰り返しながらも、常に目線を先に置き長期的に右肩上がりの成長を成し遂げたいと考えています。
大きな社会の変化は1年単位で急激に起こるものではなく、10年20年といった単位で徐々に変わっていくものです。そして、社会の変化を捉えたビジネスも当然ながら似たような速度で進化し、発展していくものだと考えているからです。わたしたちは日本の高齢社会の進展に伴う社会課題というメガトレンドを事業の対象と捉えています。それは一時的な事象で変わるものではありません。わたしたちは、この巨大なニーズに対して、これまで誰も提供していなかったような新たなサービスを提供しようと目論んでいます。そのためには、一定期間腰を据えて継続的なチャレンジをしていく必要があるものと考えています。そのような思いですので、私たちは長期的な投資家のみなさまを特に重視し、継続的な関係性の構築を行ってまいりたいと考えています。
わたしたちは1年以内に結果が出るビジネスによって売り上げ利益を確保したいわけではありません。社会の変化に伴って新たに生まれるニーズに対して適切なサービス商品を提供したいと考えています。特にわたしたちの場合は、高齢社会が進展していく中で、彼らがどのような課題や願望を持っているのか、そしてその実現や解決のためにどのようなお手伝いができるのか、という視点からそのスパンに合わせた事業活動を行っていくのが基本姿勢であります。
現在、わたしたちの主たる事業となっている葬儀やお墓に関するネットメディアについても、20年前は誰にも相手にされませんでした。事業者からは「そんなサービスをやっても誰も利用しないよ」などと言われました。しかしながら世の中は少しずつ変化します。5年、10年、15年、20年といった単位で大きく変化していきます。この長期的な取り組みによってわたしたちがいま存在していることを考えると、「きっとこうなる」と思ったことを信じ、これからも事業を行なっていきたいと考えています。
社会のニーズを捉え、長期的に成長していくのための「きびだんご」。
よろしくお願い申し上げます!
株式会社鎌倉新書
代表取締役社長兼会長CEO 清水祐孝