会長コラム“展望”

なぜそこで働くのか?

2020/10/01

組織


新しい首相に世襲でもなく、学歴エリートでもない菅義偉氏が選出された。

だからというわけでもないのだが、常識外のことができそうな気がして少し期待している。政治家のことは分からないが、経営者だと世襲で会社を伸ばしているのはレアケースだし、学歴エリートが必ずしも成果を上げているわけではない。卓越した情熱・エネルギーとか、常識を外れた発想や行動力とか、人を統率し従わせる魅力などなど、リーダーに必要な素養は、世襲や学歴エリートではかえって体得するのが難しい科目もあるのだ。

さて、菅首相が新型コロナウィルスにどのような手を打つのか分からないが、前回も書いたように「感染者を減らす」という視点よりも「恐怖心を下げる」という方向に国民を仕向けてくれるといいなあと思っている。これまでの首相たちとは異なる生き方をしてきた新たなリーダーに期待したい。


さてここからが今月の本題、これからのポストコロナ時代、ビジネスの様相も大きく変わると言われている。リモートワークや自由な働き方が進むとか、企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)が急務だとか、巷間ではいろいろなテーマが取りざたされている。いっぽう、子供のころから他人様と違うことを考える習性があるわたしとしては、ちょっと違ったものの見方をしている。確かに働き方をどう変えていくのか、デジタル化にどう対処していくのか、こういったことも重要なテーマではあるのだろうが、最も重要なことは社員が「その会社で働く意味」であり、このことが大きく問われるようになるのではないかと思うのだ。


混雑した電車に乗ることがなくなり、自宅で家族と触れ合う時間が増え、あるいはひとり物事をじっくり考える時間が増え、自分が所属する会社のことを客観的に眺めることができるようになった時、働く人々の心にどのような変化が起こるのだろうか。


プロフェッショナルな個人(フリーエージェント的な)と会社のとの関係、そんな意味合いが強くなるだろう時代を見据えたときに、会社は、労働の対価としてのお金を得るための場ではなく、そこで働くこと自体に意味や意義が感じられる会社かどうか、がますます問われるようになる。優秀な人材であればあるほど、そのことを重要視するようになる、そのように思うのだ。そして、このテーマはポストコロナ時代における、働き方の変化や、企業のデジタル対応以上に重要である、と半ば確信している。「働く意味のある会社」一度きりの人生を意味あるものとしてくれる、そんな会社が選ばれるのだと思っている。


そうであるならばこれまでの企業理念を見直す必要があると考えた。そのうえで、今日の状況に合わせて過不足を修正し、新たな理念を再構築した。そして、これらを全社員に向けて共有、今後は理念の浸透に時間を割き、働く意味のある会社であり続けたいと考えている。わたしたちのミッションは以下の通り、会社はこのミッションに向かっていくことが目的であって、利益はそこに向かうための手段だと認識している。


鎌倉新書のミッション

「私たちは、明るく前向きな社会を実現するため、 人々が悔いのない人生を生きるためのお手伝いをします」


背景について

わが国は、世界でも最も高齢化が進んだ社会である。現在の高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は、28%を超え、その総数は約3600万人に達している。そして、今後も人口の減少が続く中で、高齢化率は上がり続け、2036年には33.3%で3人に1人、2065年には38.4%に達して、国民の約2.6人に1人が65歳以上の者となる社会が到来すると推計されている(令和元年高齢社会白書)。社会における高齢者の割合が増え、また平均寿命もじわじわ伸びていく中で、彼らが明るく前向きに日々を過ごしているかが社会にとっても大変重要なテーマであると考えている。

・多くの高齢者が充実した人生を送り、家族や友人に感謝の気持ちを伝えること

・先々の憂いや心配ごとがなくなって、スッキリとした心持ちで日々を送られること

ポイントは家族や友人に対する感謝の気持ちと憂いがなくなること。多くの高齢者がそのような行動を取れば、家族や友人も同様に感謝の気持ちを持って日々を過ごすこととなる。そして、明るく前向きな気持ちは消費活動を活性化させ、(高齢化、人口減少に直面する)わたしたちの国の経済の発展に寄与するだろう。そのことが今の若い世代やこれから生まれてくる人たちにとっても、明るい未来を感じることにつながる。


もし、毎年百万の人々が家族に対して感謝のメッセージを伝えれば、社会は変わる。

もし、毎年百万の人々の憂いがなくなれば、社会は変わる。

そうすれば、毎年百万の人々が悔いのない人生を生きるようになり、社会は大きく変わる。


こんなことこそが、わたしたちが社会から与えられた使命であると信じて原理主義的(例えが悪いか)にやっていこうと思っている。


株式会社鎌倉新書

代表取締役会長CEO 清水祐孝